実験、実験、ひたすら実験

考え方・疑問
楽天で探してみる
6月20日(水)の、練習でのことです。
 
僕は遥と幸也に、指定したパターンのミット蹴りを一通りやらせた後、こう言いました。
 
 
「今までお前らは、オレが言ったことを『ただやるだけ』だった。
今後は、『オレがまだ言っていないこと』まで考えを張り巡らせて、『オレが言っている以上のこと』をやってみろ。
あ、もちろんオレの教えを無視しろとか、否定しろと言っているわけではないからね?」
 
 
その後、ステップキョルギ(ライトスパー)1分3ラウンドを3セット。
 
時折檄を飛ばしつつも、
・ どのような攻撃を仕掛けるのか
・ どのようにカウンターを取るのか
については、極力二人に任せました。
 
 
すると……
 
上段回し蹴りを出してよけられると、今度は「上段回し蹴り→振り蹴り」と空中で蹴りを往復させ、遥の頭部に当てる幸也。
 
死角となる相手の背中側から足を上げ、幸也の顔面にネリョチャギ(踵落とし蹴り)を蹴り込む遥。
 
 
ラウンドを重ねるごとに、二人とも考えながら攻撃を仕掛けるようになっていったと思います。
 
僕が驚くような攻撃も、何度もありました。
 
 
僕は二人に、いつも言います。
 
とにかく数多くの「実験」を重ねなさい、と。
 
 
・ どういう軌道や角度から蹴れば、オルグル(上段蹴り)は見えにくいのか?
 
・ どのタイミングで蹴れば、相手は反応しづらいのか?
 
・ 相手を居着かせ、自分は居着かないようにするには、どうすればよいのか?
 
 
これらは全て、「実験」です。
 
試合では試せないことも、練習中なら相手を使っていろいろと試せます。
 
 
「実験」と言うと「じゃあ、相手は実験台なのか!?」とばかりに「聞こえが悪い」と考える人もいると思いますが、相手からすればこちらも実験台なのですから、そこはお互い様です。
 
そんな些末なことは気にせず、そうやってお互いに高め合っていけばよいのです。
 
 
「VTRで見ればそんなに速い蹴りではないのに、実際にそいつと試合をすれば食らってしまう」
 
よくある話です。
 
 
「蹴りの軌道が見えづらい」「タイミングがわかりづらい」等、実際にそいつと向き合わなければ、決してわからないことがあるからです。
 
この話がわからない人は、「自らは試合をしたことがない」という人です。
 
 
遥や幸也にとっては、本当に大事な大会(全日本ジュニア)や、大事な大会への出場権がかかっている大会(西日本ジュニア)以外は、全て「実験」だと僕は思っています。
 

 
 
「練習では出せたのに、試合では出せなかった」
 
これも、よくある話です。
 
 
試合では、
対戦したことがないタイプの相手
緊張
恐怖感
いろんなものが「本来の動き」を邪魔します。
 
 
その誤差を埋めるために、数多くの試合をこなさなればなりません。
 
だからこそ、試合も「練習の延長」だと考えて、試合中も「実験」を繰り返さなければなりません。
 
 
そして、そこで得た情報を練習にフィードバックさせて、さらにレベルを引き上げ、また試合に臨む。
 
その繰り返しです。
 
 
現在四国には、
・ 日本代表として、国際大会にバリバリ出場している選手
・ そういう選手生活を送った後、後進の育成に努めている指導者
が一人もいないわけですから、ただでさえ不利な状況の中、関西や九州、関東に勝つためには数多くの「実験」をこなすしかないと思います。
 
他に方法があるなら、僕が教えてもらいたいぐらいです。
 
 
聞きかじりの知識や、経験が伴っていないことなど、試合コートの中ではたちまち霧散します。
 
あの四角い空間には何も無く、主審を除けば相手と自分しかいないからです。
 
嘘やまやかしは、一切通用しません。
 
 
これらのことも遥と幸也にはいつも言い聞かせてきたことですが、二人とも最近それがわかるようになってきたと思います。
 
 
膨大な数の「実験」をこなし続け、練習や大会を通じて着実に成長し続けていってもらいたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました