この話は、ある空手団体で世界チャンピオンを何人も育てた、いわゆる名伯楽と呼ばれる指導者の方が書いた本に載っていた話です。
何年も前に読んだ話ですので概要しか覚えていませんが、非常に面白い話ですので、ご紹介したいと思います
あるところにコックさんがいました。
そのコックさんにはAくん、Bくんの2人の弟子がいました。
ある日コックさんは、2人にこう指導しました。
「ここにPと書かれた容器と、Sと書かれた容器がある。それぞれに調味料が入っているが、Pはパッパッとかけて使うからPで、SはサッサッとかけるからSだ。わかったな?」
そう教えられて、Aくんは「はい!わかりました!」と返事して、それに素直に従って作業しました。
しかしBくんは、コックさんにこう尋ねました。
「先生、そんなハズはないでしょう?ホントは、ちゃんとした意味があるんでしょう?」
コックさんはBくんに「Pはペッパー、Sはサルトの略だ」と説明し、2人の指導を続けました。
ここで問題となるのが、2人の弟子が全く違うタイプだということです。
その名伯楽の方いわく、「どちらのタイプが良い悪いではない。実際、どちらのタイプからもチャンピオンは生まれている。試しに例を挙げると、Aくんのタイプは○○選手、Bくんのタイプは△△選手などだ」とのこと。
僕はそれぞれの選手の試合をVTRでかなり見ていましたし、雑誌での対談なども読んでいましたので、この話を非常に興味深く読ませていただきました。
要するに、世の中には「この様にやれ」と教えられて、「ハイ!」とそれに素直に従って行うAくんタイプと、何事もまずは「この練習にはどんな意味があるのか?」、「他の練習と比べて効果がどう違うのか?」などをちゃんと理解してから行いたいと考えるBくんタイプがいるということです。
さて、名伯楽の方の話を引用するだけでは芸が無いので、ここからは僕の持論を書かせていただきます。
世の中には人からものを教わる際に、
①人より飲み込みが早いウサギ型
②人より覚えるのが遅いが、後で伸びてくるカメ型
の、大きく分けて2つのタイプがいると思います。
これは必然と言えば必然ですが、格闘技に関しても仕事に関しても、Aくんタイプにはウサギ型、Bくんタイプにはカメ型が圧倒的に多いと思います。
それから、Bくんタイプには人からものを教わる際に、やたらと「なぜ?」と質問を連発する人がいるため、教える側から煙たがられることが多いと思います。
しかし、そこで相手をしっかり納得させて教えるのが、指導者の責任です。
だからこそ、
門下生全員に同じような指導の仕方をしてはいけない。
相手の性質を理解した上で、指導しなければならない。
と思います。
ちなみに、僕は人にものを教える際、相手がどんなに僕を質問攻めにしたとしても、ちっとも煙たいとは思いません。
なぜなら、僕自身がBくんタイプのカメ型だからです
参考にしていただければ、幸いです。
コメント