料理人と指導者

考え方・疑問
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和食の神髄を究めたと言われる日本料理人・奥田 透氏。
 

 
 
以前放送されたNHKの「プロフェッショナル」に出演されていた時、こうおっしゃっていました。
 
 
「私の料理は、素材を切ったり焼いたりといった『手』を極力加えないようにしている。それよりも、素材の持ち味を最大限に活かすことを大事にしている」
 
 
今年8月に烈蹴会の常設道場が稼働し始め、9月からは毎月1回のペースで、主にジュニア選手向けの強化練習を行うようにしました。
 
「各選手の長所を伸ばし、弱点を無くしていく」という、本当に根本的なことをテーマに掲げました。
 
 
放送から随分経ちますが、ふと奥田氏の言葉を思い出し、こう思いました。
 
 
「料理人と指導者は似ている」と。
 
 
たとえ上等な食材(才能ある選手)でも、ダメな料理人(ダメな指導者)が手を加えると、本来の持ち味を活かすことはできない。
 
それどころか、悪い部分を放置したまま良さを潰してしまう可能性すらある、と。
 
 
正道会館の石井館長(当時)も、著書の中でおっしゃっていました。
 
「大会会場にはほんの一言教えるだけで、見違えるように強くなれる選手がたくさんいる。非常にもったいないことだ」と。
 
 
僕はあらゆる面で石井館長の足元にも及びませんが、今なら少しはその意味がわかる気がします。
 
そして、もっともっと研究しなければいけない。
 
いつまでも、選手目線でいなければならない。
 
そう思っています。
 
 
僕も最近は、「先生」と呼ばれることが増えてきました。
 
武道の世界では、ちょっと「先生」と呼ばれるといい気になり、すぐに神棚に上がりたがる者が多いと思います。
 
残念ながら、それが現実です。
 
 
しかし、僕と道場長代理である田邊くんは、仮に日本代表を育てようがオリンピック選手を育てようが、ずっと選手目線でやっていこうと固く誓っています。
 
僕がしぶとく大会に出場し続けているのも、それが理由の一つです。
 
 
それと、教えるためのデータ集め。
 
「シニアの部」とかには決して出場せず、大学生・高校生と同じ土俵で戦い続けているのも、そうしないと決して手に入らないものがあるからです。
 
要するに、自分を使った「実験」です。
 
 
すぐに神棚に上がりたがる人間は、見ていればわかります。
 
私見ですが、欧米よりも狭い日本に多い気がしますね。
 
それが、あらゆる競技で欧米に遅れをとっている一因でもあると思います。
 
 
僕は子どもたちに「無駄な努力や経験は無い」と言いたいところですが、現実を教え、然るべきところに努力を費やし、最短で強くしていきたいと思っています。
 
 
まだまだ五里霧中。
 
けれど、強化練習で子どもたちにみっちり教えるのは、とても楽しいです。(*^^*)
 
 

 

 
※写真は常設道場に新設した、懸垂用のステンレスパイプと、ホワイトボートです。

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